第四回コラム

よみとばしのコラム



いつも心にレイザーラモン。よみとばしです。

かれこれ半年前、今以上に肌寒い季節に、家に引きこもって変なFLASHを
作ってたんですが、それが完成して発表した後の散々な評価を見て
「誰にでも広く受け容れられる作品って偉大だなあ」と痛感しました。

本気出して悩んで、筋道が通ってラストに色んな意味を込めた、独創性のある
(というほど洗練されてないので、実際は"独善"でした)ストーリーを考えても、
完成したのは、あまりに考えすぎて煮詰まっちゃってるようなクセの強い話で、
一部の人には褒められましたが、ほとんどの人には「意味がわからない」
「ラストが投げやり」「雰囲気だけで魅せようとして失敗している」と酷評されました。

その時に作ったのは
「積み木の国があって、積み木作りに挫折した女の子が変な花に相談した後、
変なねずみと出会い、一緒に積み木を作ってるうちに何かを見出すんだけど、
結局、積み木を崩しちゃった」

という胡散臭い話なのですが、変な夢を見ている時のような妙に情緒的な雰囲気を
再現したかったし、意味がないようで意味がある世界観を表現したくてこういう
変な話を考えましたが、どう見ても自己満足作品です。本当にありがとうございました。

(過去に専門学校を辞めた事があるのですが、それは「色々辛いし学校辞めたいけど、
とりあえず頑張ってみよう」と考えた1週間後のことでした。
その時に「積み木を積む気になってからでも、崩れちゃう事もあるんだなあ」と感じた事が、
この作品のモチーフになってます。)

製作者の表現への欲求を満たした作品が広く観覧者に受け容れられる例は、多いように
見えて非常に少ないです。それらの作品を思い浮かべてみると、以下の共通点が見られます。

(1)時を超えて語り継がれるほど、多くの人に深い感動を与えた作品

手塚治虫のアトムやブラックジャックに代表される、ヒューマニズムを主題とした
数百の著作は、笑いを織り交ぜながらも人間の尊厳、自然の偉大さを謳い、その上で
戦争や社会や国家が生み出す戦争や飢餓、環境破壊などの問題に警鐘を鳴らし、
著作が発表されて40年以上、二人が逝去して10年以上経った今でも、その著作は
文庫本や「手塚治虫マガジン」などに形を変え、今も広く親しまれています。

(2)マンネリ化しつつも、定番となっているお茶の間向けアニメ

ちびまるこちゃんやクレヨンしんちゃんなど、後半の曜日の、多くの家庭が
揃ってテレビを見る時刻に放映される、長期に渡って続いてるアニメです。
際立って面白い回はありませんが、安定した面白さを毎週届けてくれます。
これらの番組が長期間続くのも、それだけ作品世界が一般的な日常と近く
広い世代が共感して見れるからだと思います。

(3)発表された当時の世相を反映、もしくは時代のニーズにマッチした作品

これは前者の二例と比較すると訴求対象が一部の層に限定されてしまいますが、
少年犯罪や無気力な若者など、不況などがもたらした社会の停滞、社会不安が
クローズアップされていた1995年に、ロボットと地球存亡を巡る少年の
内面真理や内的世界を表現し、10年経った今でも日本だけでなく海外にも
熱狂的なファンが居る「新世紀エヴァンゲリオン」や、「萌え」全盛の現代に、
登場キャラクターの人数をウリにして話題を集めている「魔法先生ネギま!」
などがあります。後者の作品はストーリーに全く着眼点はありませんが、
それほどコアでなく、こういった作品に萌え以外の要素を多く求めないオタクが
求める萌え要素が殆ど詰まっており、作品の評価は別として、コラムのテーマにある
"「見る側の求めるような」作品を提供する……"という一文に合致しています。
前作の「ラブひな」を見ても、赤松健氏は「作り手が作りたいもの」より
「多くの見る側が望むもの」を優先して書いているのだと感じられます。
多くの訴求対象にマンガを売る為に描く事を前提にしている現代では
それはそれで一つの優れた才能と認められるものだと思いますが、
読者に媚を売っているようにも見えて、その姿勢に共感する事は出来ません。



少し話が逸れましたが、時流の中に埋没せず、十年、百年と
多くの人に記憶される創作物には、ふたつの共通項があります。

それは「独自性」と「普遍性」です。

芸人でも、一年で忘れ去られる人、いつの間にか存在が薄れている人も居れば、
数十年に渡って色んな番組の顔を努め、大御所となっている人も居ます。
テレビの前の飽きっぽい人々の支持を繋ぎ止め続けるには、それだけの存在感と
時代が変わっても揺るがないギャグを飛ばし続ける為の努力が必要です。
創作物も同じ様に、世相に惑わされない普遍性を作中で捉える事で、
辛うじて生命を永らえる事が出来ます。それは、並大抵の事ではありません。



しかしその生命は、永遠に鼓動する魂へと昇華するでしょう。
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by bungeisai | 2005-10-24 00:34 | 第四回コラム


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